他人事とは思えない

精神疾患・処女・何となく一家離散という様々なややこし事を抱えながらも東京で逞しく日々生きてる人の日常。2019年4月から某企業で障害者雇用で働いてるけど貯金がありません。

最後の旅行(十)

ホテルに戻り軽くシャワーを浴びて横になっているといつの間にか寝てしまい、
起きたら開場時間の20分前になっていた。

部屋を出てロビーへ向かうと、折りたたみの傘がまったく役に立たないレベルの土砂降りの雨だった。


小雨程度なら15分程歩いて向かおうと思っていたが、これはまたタクシーを使うしかない。

二度目のタクシー。


今までの遠征は名阪や福岡広島など鉄道網が発達している所にしか向かった事がない。

世の中こんなにもタクシーが必要な場面があるのかと学んだ。


ずぶ濡れのまま、しかも今回はライブハウスなので体力の消耗も倍掛かると思われる。

おまけに呼吸器も相変わらず調子が悪い。
おとなしく一メータータクシーに乗った。

余裕がある時は釣り銭はもらわない主義だが、
今回は二度しっかりと返してもらった。


会場に着くと近くの公園で待機するようスタッフのに誘導された。
幾分小康状態にはなっていたものの、
ただでさえこの待つ時間が苦痛なのでドッと疲れが出てしまう。


このような理由で座席指定の場合は開場して暫くしてから着席するし、
スタンディングの開場も今はなるべく避けてはいるものの、もう無理してまで前で観ようとなど思わないので、
よほど数字が小さい番号で無い限り
(前に行けば行く程より体力の消耗が激しい為、難しそうなら友達と交換する事もある)
並んだりはしない。

今回は開場時間が押していた為遅れて行っても並ぶハメになってしまった。

姉妹の番号は大分前なので姿も見当たらない。

今も昔もどんなに好きな公演でも当日無事たどり着くかとか考えたり待ち時間で疲れてしまう。

今は「私がそこに存在しているだけで疲れる」と言語化出来るようになったが、
この頃は自身の体力気力のなさに自分を責め続けていたように思う。

しばらくしてようやく会場内に入る事が出来た。
名阪なら地元組や遠征組が混在し、久しぶりだねの挨拶の応酬となるが、
岡山となると流石に姉妹以外知っている人はいない。

だが、広いキャパではないものの満杯で後ろの方で観る事にした。

疲労度が高い分狭い会場で観る彼等は毎度ながら圧巻だ。

ライブの内容を事細かに覚えられないのでもういつも通りよかったねで終わる。
セットリストを毎回最速で上げてる人、あれ全員MENSA会員なのかと思う。


ライブが終わった後友達姉妹と合流し、
妹君がすぐ帰るとの事でまずは急ぎで岡山駅へ向かう。

電車の時間がギリギリで慌てての解散となったが、無事送り届け私と友人はルミネの様な駅ビルに入り、女性が好みそうなこじゃれた定食屋に入り遅めの夕食を食べた。


この手のビルに出店している飲食店は値段ばかり高くて大して美味しくないので普段は行かないのだが、素材が良いのか小鉢一つ取っても美味しかった。

明日も朝早くから仕事との事なので、彼女とは二十三時前には解散した。




今度はいつ会えるだろうか



もし彼女が東京に住んでいたらと数え切れないくらい想像した。


仕事終わりに今日夕飯食べに行かないかと誘ったり、年に一度ぐらいは私が平日有休を取って二人で日帰りで遠出などをしたい。

彼女の勤めている店まで素知らぬ顔をして客として行き、適当な日用品を数百円程買い、
邪魔にならないようにサッと帰りたい。


友達の友達とは仲良くなれる自信はないけど、一度ぐらいたこパにお邪魔してみたい。


もし彼氏が出来たらめちゃくちゃ心配だが全力で応援したいし、
私は猫アレルギーだから彼女の部屋には入れないけど、迷惑でなければ阿佐ヶ谷姉妹のように隣の部屋に引っ越したい。

多分それは無理だから徒歩圏内、
贅沢は言わないから三駅ぐらい離れた所に住みたい。


何で一番近くにいて欲しい友達が一番遠くに住んでいるんだろう。


はええ格好しいなので、まぁまた会おうねぐらいでサッと別れた。


彼女の人生を変えられたらと妄想だとしても想いを去来させてしまう自分の傲慢さにむなしくなりながらホテルへと帰宅した。